TOP > クマンツメ開発奮闘記
Interview
弊社が取り扱う橋面舗装版二次剥ぎ取り特殊ツース「クマンツメ」は、2015年の販売開始以来、橋梁補修やマンホール周りの舗装、高速道路といった様々な舗装作業の場面で活躍しています。その施工性や作業性向上が国土交通省に認められ、令和2年度の推奨技術に選定されました。
構想から実用化まで、約20年。クマンツメの生みの親でもあるレンタル事業部、道路機械担当部長の長谷川正典に話を聞きました。
私がレンタル事業部に携わって、今年で30年目を迎えます。舗装業者様をメインに営業活動する中で、実際に多くの現場に足を運び、働く人たちの作業風景を間近に見て、作業員の声を聞いてきました。どの舗装現場でも共通して苦労されていたのが、大型切削機で一次切削を施工した後の二次切削でした。二次切削は一次切削での削ぎ残しを完全に除去する作業ですが、ここで凹凸なく滑らに仕上げることが、舗装後の破損回避等に大きく影響します。凹凸を無くすために、最終的に人力でチッピングしていく作業は、時間も人手も取られます。そのような現状を目の当たりにして、何か良い解決策はないものかと考案、開発したのが「クマンツメ」です。大きな爪を持つ熊が力強く引っ掻く姿をイメージして名付けましたが、その名前に劣らない働きぶりを見せてくれています。
クマンツメの使用方法は、重機バケットの先に取り付けるだけ。見た目も湾曲したエッジというだけで、初めてクマンツメを見るオペレーターの多くが「一体、コレのどこが特別なんだろう?」と半信半疑の顔をされるんです。使い始めると施工スピードの速さはもちろん、その剥ぎ残しのない仕上がりに驚かれます。作業に必要なのは、オペレーターひとりだけ。床版への切削振動が微震で刃こぼれもなく、施工能力は従来工法の約2倍にアップします。導入いただいた現場から別の現場へと人づてで話が広がっていき、今では商品そのものが優秀な営業マンなんです。
戦後の高度経済成長期に建設されたインフラは、耐用年数が近づいたものもあれば、すでに超えているものも多くあるのが現状です。全国に約74万あると言われる橋梁の補修や延命工事が進む中において、クマンツメが低コストで作業効率の大幅な向上に寄与すると信じています。
クマンツメの開発後、国土交通省が運営する「新技術情報提供システム(NETIS)」に登録しました。システム上には3000近くの技術や製品が紹介されていて、実際に使用したお客様からの評価書類が国土交通省に届くようになっています。クマンツメは、登録から5年も経たないうちに上位ランク(VE)に昇格。現場の声を国が認めた結果ということで、ただただ嬉しい気持ちでいっぱいでした。さらに驚くことがあって、令和2年度の「推奨技術」にも選定されました。クマンツメが「公共工事等に関する技術の水準を一層高めるために選定された画期的な新技術に値するもの」として、評価をいただいたんです。通知をいただいた時は、唖然としました。驚きで言葉を失うって、こういうことか!と(笑)。
開発中は試行錯誤の中、時には心が折れそうになったこともありましたが「使ってよかった」「工期が短縮できた」という現場からの声が聞けたとき、一瞬にして全てが報われました。一切妥協せず、諦めなかった結果だと自負しています。現場の困りごとを自分のこととして捉え、解決策を形にして提案するーー。これからもひたすらに現場に寄り添っていきたいです。